大学生による地域資源磨き上げ大作戦!
2025.9.3
明治大学生が地域課題と魅力を同時体験
愛知県の山間地域と大学生をつなぐ地域創生プロジェクト「あいちの山里 大学生による地域資源磨き上げ大作戦!」において、明治大学マーケティング研究会の2年生5名が、9月3日(水)から5日(金)の3日間、愛知県山間地域での本格的なフィールドワークを実施しました。
【1日目】
初日となる9月3日は椎茸農園とジビエカフェを訪問し、地域の深刻な課題と豊かな資源を同時に体感しました。
椎茸農園での驚きの発見
山百合荘豊邦直売所での試食体験では、学生たちから驚きの声が相次ぎました。椎茸ビシソワーズを試食し、「通常のビシソワーズと違って旨味を強く感じた」「まろやかさとコクがある」と高く評価しました。小川晃徳さんから椎茸の400年の歴史や戦国時代には金と同じ価値で取引されていた話を聞き、学生たちは地域資源の文化的価値の深さに驚きました。また、名古屋コーチン卵プリンを試食した学生は「めちゃくちゃ美味しい」「口当たりが滑らか」「トロッとしている、卵を感じる」と品質の高さを絶賛しました。
ジビエカフェでの現実と可能性
築150年の古民家を改装した山里カフェmuiでは、女性猟師の清水潤子さんから獣害の深刻な実態を学習しました。愛知県の農作物被害額の約4分の1を豊田市だけで占めている現状に加え、「捕獲後の利用率は鹿10%、イノシシは5%のみで、90~95%は埋設・焼却処分されている」との説明に、学生たちは資源の無駄遣いの深刻さを実感しました。一方で、鹿肉に含まれるDHAや認知症予防効果のあるアセチルカルチニンなど、栄養価値の高さも知り、普及促進の必要性を痛感しました。
田舎体験での新たな気づき
四谷の千枚田視察では、400年前から続く棚田の美しさに感動。夜はタカハウスでのバーベキューで、火起こしから挑戦し、都心では味わえない自然との共生を体感しました。3名の学生がアースバッグサウナを体験し、「木とは違う熱の感じ方」を実際に確かめました。学生たちは一日を振り返りながら「地域の課題と魅力が同時に見えた」と感想を語り、残り2日間への期待を高めました。
【2日目】
フィールドワーク2日目となる9月4日、学生たちは豊根村から東栄町、新城市まで広範囲にわたり、地域の特色ある事業を視察。それぞれの現場で地域資源活用の多様性を実感しました。
キャビア養殖で見た地域愛
豊根村でチョウザメ養殖を営む小早川武史さんの話に、学生たちは地域への深い愛情を感じ取りました。名古屋市出身で地域おこし協力隊として移住した小早川さんは「キャビアを10年間で事業化したい」と語り、「村に来て食べてもらうことを重視する」という方針に学生は感銘を受けました。多くの時間をチョウザメの管理に費やす厳しい環境でも「自分がやりたいかどうかが判断基準」との言葉に、学生からは「地域への責任感が伝わってきた」との声が上がりました。
手作りコスメ創作体験
東栄町での手作りコスメ体験では、学生3名が日本唯一の産地である東栄町産セリサイト(絹雲母)を使ったファンデーション作りに挑戦。「自分で作ったファンデーションを使うのが楽しみ」と話し、作業中は時間を忘れて創作に没頭しました。大岡千紘さんから「美の地産地消」というコンセプトを聞き、地域資源の新たな活用方法に学生たちは大きな刺激を受けました。
廃校活用の現実と可能性
築100年の門谷小学校では、地元管理による廃校活用の実例を学習しました。土日の約3分の2が貸切利用されている現状に「安定した活用ができている」と評価し、廃校の有効活用の可能性を感じました。
インバウンドの最前線
湯谷温泉Hoo!Hoo!では、宿泊客の40%が海外客という驚異的な集客実績に学生たちは驚嘆。加藤直詳さんの「口コミ重視で自発的発信は最小限」という戦略や、地元飲食店との連携による素泊まりスタイルに「小規模でも差別化できる」との学びを得ました。学生からは「地方でもグローバルな視点が重要」との感想が聞かれ、地域の可能性を再認識しました。
【3日目】
フィールドワーク最終日となる9月5日の行程について、設楽町の遊べる花屋とばんじゃーる駒ヶ原の訪問を予定していましたが、接近する台風情報に基づき、前日4日に訪問先を変更することを決定し、新城市役所を訪問。3日間の体験を踏まえた政策提言を行い、学生と自治体職員による建設的な意見交換が実現しました。
学生リーダーから見た地域の可能性
プロジェクトリーダーの大竹勇斗さんは「あいちの山里は人との関わりを重視する場所で、多くの事業者が地域を潤わせたいという強い思いを持っている」と総括。3日間の視察を通じて「資源の豊富さと人の温かさを実感した」と報告し、「広いターゲットより尖らせてファンを獲得することが重要」との戦略的視点を示しました。学生たちは豊根村の小早川さんのような若手経営者の存在に特に感銘を受け、「『村に来て食べてもらう』という姿勢が印象的だった」と語りました。
具体的な改善提案
学生たちからは体験に基づいた具体的な提案が相次ぎました。セリサイトについては「日本の高品質セリサイトと海外製品の品質差を体感できる比較体験の実施」を提案。干し椎茸については「家庭での使用方法が分からない消費者が多い課題」を指摘し、「椎茸出汁を使用したビシソワーズの飲み比べや粉末椎茸の開発」を提言しました。これらの提案は、3日間の現地体験から得た課題認識に基づく実践的なアイデアとして新城市職員から評価されました。
新城市の先進的取り組みに学ぶ
新城市から「地域の課題を地域住民が解決する住民自治の推進」について説明を受け、学生たちは10年間で40~50の事業を実施してきた若者議会の実績に驚きました。「月3~4回、年間30~40回の会議で予算執行権を持つ実践的な議会」という制度に、学生から「同世代が政策に直接関わる仕組みがあるのが羨ましい」との感想が聞かれました。
継続的な関係人口への展望
学生たちは一過性の訪問ではなく、継続的な関係人口として地域と関わることの重要性を理解しました。学生から「あいちの山里のプロモーション活動への積極的参加意欲」が示され、3日間のフィールドワークは、単なる視察を超えた地域連携の第一歩となりました。