大学生による地域資源磨き上げ大作戦!

2025.10.18

明大マー研ジビエチーム、あいちの山里でジビエ料理を体験

愛知県の山間地域と大学生をつなぐ地域創生プロジェクト「あいちの山里 大学生による地域資源磨き上げ大作戦!」で、明治大学マーケティング研究会ジビエチームの2年生が1年生を連れ、公共交通機関を利用して現地を巡り、ジビエ料理や地域の魅力を探求するフィールドワークを実施。東京での実践活動を目標に、地域の食文化を直接体験し、その魅力を発信するための知見を深めました。

1日目

学生たちはまず香嵐渓を訪れました。香嵐渓は愛知県豊田市にある紅葉の名所として知られる渓谷で、遊歩道や吊り橋「待月橋」など写真映えするスポットが多い観光地です。谷口亜海さんは「自然豊かで観光地として楽しめた。街の風景も風情があって、東京とは違った景色で魅力的だった」と評価。山本朝陽さんも「自然が豊かで心が洗われるような景色だった。お土産店やカフェもあり、揚げもみじまんじゅうや五平餅などの食べ歩きを楽しんだ」と、地域ならではの食文化を満喫した様子でした。

池上葉乃さんは「五平餅やみたらし団子がおいしかったし、お店の人が優しくて温かみを感じた。川が壮大ですごくきれい」と、自然と人の温かさを実感。2年生の大和田詩織さんは「オシャレなお店が集まる一角があり、もみあげ饅頭というもみじ饅頭を揚げたものをいただいたが、とても美味しかった。自然が豊かで癒される」と満足そうでした。

次に訪れたのは「季節料理 井筒亀」。地元の食材を活かした本格的なジビエ料理が味わえる店として知られ、馬刺し、鹿刺し、猪のすき焼き、猪の串焼き、ししコロッケ、熊カレーなど、多彩なジビエメニューを提供しています。学生たちは「バカ刺し」と呼ばれる馬と鹿の刺身の盛り合わせなど、普段はなかなか味わえない料理を堪能しました。

初めてジビエ料理に挑戦した1年生からは、驚きの声が続出。小川柚悟さんは「脂身が少ないので、コロッケや焼肉でもしつこくない味。鹿肉はマグロの赤身のようで、馬肉は油が多くても胃に負担がかからなかった」と、ヘルシーさを実感した様子。山本朝陽さんは「猪の串焼きは弾力があり噛むごとに旨味が感じられ、馬と鹿の刺身はとろけるよう。熊カレーは繊維がほろほろと崩れて熊肉とカレーの相性が抜群だった」と、それぞれの肉の特徴を楽しみました。2年生の大和田詩織さんも「猪すき鍋は牛肉とも豚肉とも違うような食感で、身が引き締まっていて食べ応えがあった」と満足そうでした。

学生たちの体験は、ジビエ料理への先入観を覆すものとなり、今後の東京での実践活動に向けた貴重な学びとなりました。

2日目

愛知県新城市の長篠城趾を視察後、「猪鹿工房 山恵」とオンライン打合せを行い、ジビエ業界の現状と課題について学びました。

長篠城趾は戦国時代の激戦地として知られる史跡で、保存館は火縄銃射的体験もできる観光施設。大河ドラマ「どうする家康」放映時は年間4万人の来訪がありましたが、現在は集客に苦戦しているようです。2年生の大和田詩織さんは「火縄銃射的は楽しかったし、保存館の展示も興味深かった。でも歴史に興味がない人には交通の便の悪さを乗り越えてまで来る場所ではないかも」と率直な感想を述べました。

続いて行われた山恵とのオンライン打合せでは、ジビエ業界の実情をお聞きしました。猪鹿工房 山恵は、ジビエの捕獲から加工、販売までを手がける事業者で、地元猟師と協力しながら高品質なジビエ肉を提供しています。

1年生たちは業界の課題に驚きを隠せない様子で、小川柚悟さんは「70代以上の猟師が多く、後継者不足が深刻。オンライン販売もアクセスが少ない」と現状を受け止めました。池上葉乃さんは「動物の苦しむ時間を短くする意識や、体力が必要な六次産業化の実態を知り、スローライフではないと実感した」と語りました。

一方で、ジビエの魅力についても多くの学びがあり、谷口亜海さんは「完全な国産で無添加。栄養価が高く、個体差があるのも魅力の一つ」と感想を述べ、山本朝陽さんは「山の豊かさや餌によって味が異なる」と地域性の重要性に気づきました。

特に印象的だったのは、猪鹿工房 山恵からの「安売りはしないでほしい」という要望です。新優空さんは「命がけの作業で管理も大変だから安く売りたくないという考え。ウナギやクリスマスのチキンのように特別なものとして食べる習慣ができたらいい」と、ジビエの価値について考えを深めました。金子唯夏さんも「天然の純国産で添加物を使わない肉。特別な日の贅沢品として位置づけることが大切」と共感を示しました。

学生たちは、ジビエ業界が抱える課題と可能性を学び、東京での実践活動に向けて「既存の肉との価格差をどう埋めるか」という新たな課題に直面しています。